100万年の歴史を持つアフリカ・タンザニアの「ヴィクトリア湖」

アフリカ大陸の中央部、やや東寄りに横たわるヴィクトリア湖。ウガンダとタンザニア、ケニアの3カ国にまたがり、淡水湖としては大きさは琵琶湖の約100倍、九州の約1.8倍の大きさで世界第3位の面積を誇り、多様な生物種の宝庫です。

アフリカ大陸タンザニアの「ヴィクトリア湖」とは

19世紀にヨーロッパ人探検家によるナイル川の水源を探る調査が盛んに行われ、1858年イギリス人ジョン・スピークがこの「ヴィクトリア湖」を発見しました。当時の英国女王の名にちなんだ由来で「ヴィクトリア湖」と名付けられました。ナイル川の主流の1つ、白ナイル川の源流となっているヴィクトリア湖。面積は広いのですが水深は非常に浅いようで、最深部でも84mほどしかないそうです。ヴィクトリア湖に流れ込むウガンダ、タンザニア、ケニアからの複数の河川は栄養塩類に富んでいるためヴィクトリア湖を豊かな湖に育んできました。

ヴィクトリア湖の大きさ

ヴィクトリア湖の大きさは、琵琶湖の約100倍、九州の約1.8倍の大きさで世界第3位の面積です。

ヴィクトリア湖とスズキの一種の巨大魚「ナイルパーチ」

Small Nile Perch (Lates niloticus) left, Nile Tilapia (Oreochromis niloticus) right. Luxor Souk, Egypt
近年、ヴィクトリア湖は栄養に富んでいるが故に数々の問題が起きているようです。ナイルパーチというスズキの一種で全長2mを超す肉食の外来魚が食用として放流されて定着し、湖の固有種が激減しているそうです。そのうちの多くは絶滅に至っているようです。食用に加工されたナイルパーチはヨーロッパや日本へも輸出されていて、ヴィクトリア湖周辺の地域にとって重要な外貨獲得源となっている反面、輸出で支えられている近郊の社会の貧困と荒廃も問題のひとつとなっているようです。

ヴィクトリア湖の環境汚染、外来種の水草・水質汚濁・赤潮

ヴィクトリア湖は栄養塩類が周辺河川より大量に流れ込むことから透明度も低く、多くの漁獲をもたらしていますが、キスムやムワンザ、カンパラといった沿岸都市からの生活排水、沿岸の農園や牧場からの水の流入、沿岸域の湿地の開発による消失などによって湖水が著しく富栄養化し、それによってホテイアオイやパピルスなどの外来種の水草が大繁殖し、交通や漁業に支障をきたしているようです。さらに赤潮も発生するなど、水質汚濁も問題となり、この環境悪化を食い止めるために世界銀行の主導で1994年より、沿岸3カ国によってホテイアオイの制御などを目的としてヴィクトリア湖環境管理プロジェクトが実施されました。

ヴィクトリア湖の島、サッカーグラウンドの半分ほどの「ミギンゴ島」に漁師400人が生活

Lake Victoria shore-dwellers

ヴィクトリア湖には80以上の島があるそうですが、このミギンゴ島の面積は約2000㎡、サッカーグラウンドの半分ほどです。そこにぎっしりと建物をたて約400人が生活しているそうです。ヴィクトリア湖で獲れるナイルパーチは現在1kg当たり230~300Ksh(約250~330円)で取引されるそうで、ミギンゴ島から沖合いに行けば行くほどナイルパーチが多くとれるためミギンゴ島はその拠点となるようです。現在、島の住人の約4分の3が漁師とその家族だそうです。多くの収入を求める人でミギンゴ島は大人気のようです。

ルボンド島国立公園は、カバやマングース、象やキリンなど野生動物の聖域

ヴィクトリア湖南西の端にあるルボンド島国立公園は野生動物の聖域です。カバ、ベルベットモンキー、ゲネットとマングースなど多くの原産の哺乳動物種が、チンパンジー、クロシロコロブス、象やキリンなどの外来種と一緒に生息している動物たちの楽園です。数々の野鳥や蝶も見られ、野生のジャスミンや40種の異なるランなどのほか、森林にはどの花のものとも区別できない甘い匂いがあふれているそうです。ヴィクトリア湖の様々な姿を直に感じてみたいものです。