唐招提寺を訪ねる。古都奈良にたたずむ静かに凛とした場所。

唐招提寺の旅行ガイドです。

奈良県五条町にある唐招提寺。

JR・近鉄奈良駅または西ノ京駅から、バスで17分。唐招提寺停留所下車すぐです。

奈良県は言わずと知れた古都。

この西ノ京は薬師寺・西大寺などの天平期の大寺が多くある歴史深い街です。

その中でも今回は、ユネスコ世界遺産に登録されている唐招提寺を訪ねてみました。

唐招提寺/奈良県

1998年に世界遺産に登録された唐招提寺。

もっと早くに登録されても良かったんじゃ?と思うほど、重みのある場所でした。

観光スポット。と言うのも少し憚られるような・・・そんな厳かな雰囲気のあるお寺です。

歴史に深く傾倒していなくても、だれでも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

鑑真がはるばる遠く海を越え、12年間で6回も渡日を試み、視力を失いながらもやっとたどり着いた日本。

仏の道を広く伝え、多くの僧侶を育てるためにやってきたのです。

ですが、朝廷との思想の違いで落胆した鑑真。そんな中、759年にこの唐招提寺を私寺として建立することになります。

"自由に修行できる"理想の場所として建てられたのがこの唐招提寺です。

おのずと、背筋が伸びる気持ちになりました。

唐招提寺/奈良県

2000年から平成の大修理が行われ、10年もの歳月を経て、美しく蘇った唐招提寺。

今のこの時期に見ておきたいと行ってきました。

京都のそれとやはり少し趣が違うのが、奈良の歴史遺産です。煌びやかではありませんが、日本人の慎ましやかな雰囲気が漂います。

それもそのはず、唐招提寺が建っている地は、新田部(にたべ)親王の旧宅地。位の違いが滲み出ています。

まず、お出迎えしてくださるのは南大門。

そこに立つと、仁王像などは無く簡素な印象を受けます。

ここが真剣な修行の場であったことを窺うことができますよ。

南大門からは、金堂が見えます。

唐招提寺金堂/奈良県

この金堂は国宝でもありますよ。

金堂が放つ凛とした美しさは、邪念を取り払ってくれる気がしました。

"荘厳"という言葉がぴったり。

まず、目を引くのが屋根。シルエットがとても素敵です。

天平の甍。きちっと並ぶ瓦の美しさ。ため息が出ます。

広々と広がる瓦屋根とその曲線は、まさに芸術。

屋根の両端にある鴟尾(しび)。 この鴟尾「沓形」とも表され、奈良時代に貴族が履いていた沓に似た形なのでそう呼ばれています。

大棟西側にあった鴟尾は創設当時に造られたもの。なんと約1200年も風雨に耐えて来たんですね!

奈良時代の鴟尾で残っているものとしては唯一です。

当時の瓦技術の高さを窺うことができますね。現在の鴟尾は平成の大改修で新たに作られたものですが、

屋根から降ろされたこの鴟尾は新宝蔵に展示されていますよ。

唐招提寺金堂/奈良県

さあ、金堂の中に入ってきました。身がすくみます。

そこにはご本尊・盧舎那仏坐像、右には薬師如来立像、左には千手観音立像(三体とも国宝)が並んでいます。

静かに、厳しくも優しいそのお姿に、自分の何もかもを見透かされている気がして、目が離せませんでした。

盧舎那仏坐像は高さ3メートル!光背は5.15メートル!この光背には、仏様が864体あります。当時は1000体あったとか。

奈良時代特徴の脱活乾漆造。中が空洞で、木の骨組みに麻布と漆を重ねて作られたもの。莫大な費用と時間がかかる大作です。

この盧舎那仏。平成の大改修時に新たな発見がありました。なんと、両手の中にそれぞれ二つの珠が埋められていたのです。

鑑真の数珠ではないかと言われています。また、体内からは鑑真が唐から持ってきた仏舎利(仏陀の骨)が箱に入って収められていることも判明。

そんなことを思いながら、拝観させていただくと遠く天平の空気を感じることができました。

薬師如来像も3メートル超え。

立っておられますし、伏せ目の表情が突き刺さります。

昭和の改修時に手のひらから古銭が三枚見つかっています。平安初期に完成したものと推定されています。

千手観音像は、驚きの5メートル越え!

現存しているのは953本の腕ですが、やはり圧巻。この絶妙な腕の配置が素晴らしいです。

鑑真とその弟子たちの、英知と技術と、信心の深さ。また鑑真を敬愛する弟子の思いとこころ。

ぎゅっと、詰まっていて、涙が出ます。

唐招提寺/奈良県

これだけの歴史的価値と日本の文化が詰まった唐招提寺。新宝蔵を見てきましたよ。

薬師如来像や鑑真自身が持っていた菩薩像を具体化したと言われる衆宝王菩薩立像など、大らかでゆったりした数々の像が展示されていました。

また、先にご紹介した鴟尾や、孝謙天皇の宸筆と伝えられている勅額もあります。

開館期間をチェックしてお出かけくださいね。

境内には、教科書で必ず載っていた国宝の鑑真和上坐像が置かれている御影堂や、鑑真和上の仏舎利を泰安している鼓楼などがあり、北東の奥、静かな場所には鑑真和上の墓所・開山御廟もありますよ。

苔の美しい緑と、木立。そして厳かな建物と。修行の場として開かれたこの唐招提寺の奥深さを感じることができました。

煌びやかな派手さはありませんが、心落ち着く。とっても素晴らしい場所でした。

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